大塚康生さんが残す。アニメーターのための16のポイント

大塚康生さんが、作画のニメーター教育用に資料を残されているのですが、CGアニメーターも知っておくべきことが書かれているので引用させていただきました。

ディズニーのアニメーター必読書である「生命を吹き込む魔法 ― The Illusion of Life ―」からアニメーションの12の原則をまとめたこちらの記事も合わせてご覧ください。

合わせて読みたい

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大塚さんに関して、宮崎さんとのエピソードが語られているこちらのブログがおもしろいです。

その名作、大塚康生(おおつかやすお)抜きに語るべからず!!

この記事では、目次のみ分かりやすくなるように手を加えています。
引用元:http://animatorweb.jp/pdf/otsuka/16points.pdf

アニメーターのための16のポイント

1キャラクターを想像する

これから描き出そうとするキャラクターの動きをありありと心に描くことが出来ますか?

もしそのアクションを頭の中にうかべることが出来なければ実際に絵に描くことなど出来ません。アニメーターはどうしても机に向かうやいなや鉛筆をとってしまいがちです。しかしなによりもまず最初にしなければならないのは、心の中に描き出す、想像する、しかもいくつかのちがった動きを想像して、自分なりにベストだと思われるものをえらび出すことです。

2 アクションを分析する

すぐにどういう風に動かそうなどと考えないで、何故そういうふうに動くのか、理由、原因、動機を充分理解するところからはじめて下さい。

3 キャラクターの内面を知る

そのキャラクターが何を考え、そのカットの中でどう感じて行動しているかを充分把握して下さい。
キャラクターが周囲の状況の展開に対してどんな風に対応していくか、心の動きを含めて充分に把握されなければなりません。

4 セリフ

せりふはキャラクターの考えていることを表現する大切な方法ですが、TVのアニメーションのように、安易にアクションのかわりに使われるべきではありません。要するに口パク止めはダメです。

5 個性

アクション場面でもキャラクターの個性を維持すること。
クローズアップの時と同じように、アクションの場面でもそれぞれのキャラクターは個性的に表現されなければなりません。とかくキャラクターの歩き方や走り方は画一的になりやすいものです。

6 シーケンス

一カットは前後につながる一シーンの中の一部です。
シーン全体のつながりの中でカット内の動きをつかんで下さい。

7 ステージング

レイアウトがちゃんとしているかどうか確認する。
キャラクターがそのレイアウトの中にうまく納まっているか? 動く範囲に充分なスペースがとってあるか? 遠近法上正しく動かせるか、目線の高さは適当か?

8 ポーズ

シルエットにつぶしてみても何をしているかがわかるようなポーズを考えること。

9 アクションは簡単明瞭にする

動きというのは一度に一つずつしか盛りこむことは出来ません。無関係なアクションを入れすぎてカットをわかりづらくしないよう注意して下さい。

10 重量やバランスの理にかなっているか

あなたの描いた絵は重量やバランスの理にかなっていますか。
トリックやテクニックを駆使しすぎて何を云わんとするかがあいまいにならないように注意して下さい。

11 スクオッシュとストレッチ

キャラクターの感情表現には顔の形の変化は不可欠です。身体全体もそうですが、スクオッシュとストレッチはキャラクターを活き活きさせるためのもっとも大切なテクニックです。

12 寸描(サムネイル)から始めること

簡単なスケッチを描くことにより、カメラアングルやアクションを検討する時間のロスをさけるため寸描は大切なステップです。

13 止めの絵

止まっている絵も動いている時と同様に有効なポーズでなければなりません。体の左右が同じ形に描かれたり、同じポーズで3人並んでいたりするとキャラクターは死んでしまいます。
身体の自然なネジレ、頭や肩の向きの変化、傾きなどに注意して下さい。

14 チームワーク

監督や作監以外の仲間に少なくとも2~3人、シーンやカットの内容について話し合える人を持つ意義は非常に大きい。

15 アークとチャート

スムーズに流れるようなアクションを作るためには動き各部の弧線(アーク)とタイミング(チャート)はアニメーターの動きの計算のもっとも大切な仕事の一つです。

16 シーン(カット)は永遠である。

いったん上映されてしまえば、もう二度と自分の担当したカットを直すことはできません。
カットにとり組む時は最高の出来映えを目指して下さい。